さっきまでソファで穏やかに寄り添っていたメスのわんこが、次の瞬間にはまるで大好きな相手であるかのように飼い主さんの足に勢いよくマウンティングしていることがあります。これは戸惑うかもしれません。というのも、人間はマウンティングを「女性らしい」行動とはあまり考えないからです。多くの場合、性的な行動だと誤解されがちですが、この記事では、マウンティングが性別や年齢、避妊・去勢の有無に関係なく見られる、犬にとって自然な行動であることを解説します。 

大切なポイント

  • メスの犬がマウンティングするのはごく自然なことです。

  • マウンティングはしばしば置き換え行動として現れます。

  • 緊張したときに人が爪を噛んだり足をトントンしたりするのと同じような、よくある対処行動です。

  • 「ダメ」がはっきり伝わらなかったり、行動をしたときに笑ったり押しのけたりすると、無意識にその行動を強化してしまうことがあります。

  • 避妊手術をしていない犬は、発情期にホルモンが急増し、不安定になったりマウンティング行動が増えたりすることがあります。

メスの犬がマウンティングするのは普通のこと?

トレーナーとしては「メスの犬がマウンティングしたがるのは普通のこと」と言いたいですし、フェミニストとしては「メスの犬がマウンティングするのはもちろん普通のこと!」と言いたいです(笑、冗談ですが)。ドッグデイケアで働いていた時も、よく見かけました。マウンティングは年齢、犬種、避妊済みか未避妊かに関係なく見られます。 

問題なのはマウンティングそのものではなく、人がそれに対して抱く誤解(「支配的だ」「どこかおかしい」「何か問題がある」など)です。メスの犬のマウンティングを普通のこととして受け入れることが、対処法を考える前に大切です。 

大切なのは、この行動を否定することではなく、その背景にあるパターンを理解することです。PawChampも同じアプローチで、まずマウンティングの原因を特定し、その後、犬が繰り返せる落ち着いた代替行動を作り上げます。

メスの犬のマウンティングはいつ問題になる?

たまにするマウンティングは必ずしも危険ではありません。問題になるのは、行動を止めにくい場合、同じ状況で繰り返される場合、または人や子ども、他の動物にストレスを与える場合です。

行動 通常は問題ない? 対処法
遊び中のたまのマウンティング 多くの場合問題なし 必要に応じて優しく止め、パターンを観察する
注意をそらすと止まるマウンティング 通常は問題なし 「ハウス」「お座り」「おもちゃを取ってきて」などの代替行動を教える
来客や子ども、他の犬へのマウンティング 管理が必要 早めに止めて繰り返しを防ぐ
激しく繰り返すマウンティング 問題あり 興奮を抑え、構造化されたトレーニングを始める
突然の強迫的なマウンティング 問題あり 獣医師に相談し、身体的な原因がないか確認する
唸り声や固執を伴うマウンティング 問題あり 悪化する前に専門家のサポートを受ける

どの理由が当てはまるかわからない場合は、PawChampのクイズを受けてみてください。過剰刺激、ストレス、ホルモン、習慣、注目欲しさなど、行動の原因を絞り込み、犬の状況に合った計画から始めることができます。

メスの犬がマウンティングする5つの理由

メスの犬がマウンティングする理由は、興奮やストレスから習慣やホルモンの変化までさまざまです。以下に、よくある5つの理由とそれぞれに対する実践的な対処法を紹介します。

1. 興奮・過剰刺激

犬の行動学でいう「興奮」とは、性的興奮だけでなく、神経系が強く活性化している状態を指します。興奮、ストレス、混乱、フラストレーション、激しい遊び、過剰刺激などが原因で、マウンティングがエネルギーの発散手段となることがあります。 

これは置き換え行動として現れることが多く、犬がたまったエネルギーをどう発散してよいかわからないときに見られます。 

私がデイケアで観察してきたケースや行動相談の経験では、マウンティングが多い犬は自己調整が苦手なことが多く、支配性とは関係ありません。 

犬は、遊びに疲れて少し休憩したいことを他の犬や人に伝えるためにマウンティングすることがあります。 

代わりにできること:

  • マウンティングが始まる前に注意をそらしましょう

  • 遊びを一旦短く休憩させましょう

  • 嗅覚遊びやおやつを散らす、噛むおもちゃを使って興奮を抑えましょう

  • 犬が再び興奮する前に落ち着いた行動を褒めてあげましょう

2. ストレスと不安

マウンティング中の犬が自信満々に見えても、実はストレスを感じているときに見られる行動です。これは、私たちが緊張すると爪を噛んだり足をトントンしたりするのと同じような対処行動です。 

判断のヒント:新しい環境や見知らぬ人の前、混乱した遊びの中でマウンティングする場合は、ストレスによるマウンティングの可能性があります。 

代わりにできること:

  • 状況の刺激レベルを下げましょう

  • わんこをトリガーから離しましょう

  • 落ち着くためのスペースを与えましょう

  • 叱るのは避けましょう。ストレスによるマウンティングは、プレッシャーを感じると悪化しやすいです

3. 注目を引きたい

もしかすると、「マウンティングをすると必ず人が反応してくれる」と学習しているのかもしれません。もしそうなら、注目を引くためのマウンターかもしれません。 

「ダメ」がはっきり伝わらなかったり、行動をしたときに笑ったり押しのけたりすると、無意識にその行動を強化してしまうことがあります。 

このタイプは、私たちが善意であっても誤って強化してしまうことが非常に多いです。一貫したルールを設けることが、注目を引くためのマウンティングへの対処に役立ちます。

4. 発情期のホルモンの影響

避妊手術をしていない犬は、発情期にホルモンが急増します。これにより落ち着きがなくなり、マウンティング行動が増えることがあります。 

発情中のメスがオスにマウンティングすることも、自然な繁殖行動の一部です。簡単に言えば、これはオスに関心を示し、交配を受け入れる意思を伝えるサインの一つです。 

☝️覚えておきたいポイント

マウンティングは犬の本能的で自然な行動です。避妊手術をしていないメス犬の場合は、適切な管理が重要です。オス犬への無監督の接触を避け、発情期にはノーリードでほかの犬と接触させるのは避け、獣医師と最適な繁殖管理について相談しましょう。

5. 習慣的または学習された行動

犬は他の犬から学んだり、状況や環境に反応して行動を覚えることがあります。メスの犬が他の犬とよく交流している場合、その犬からマウンティング行動を学んでいる可能性があります。 

また、避妊手術後も行動が続く場合は、マウンティングに慣れてしまっていることが考えられます。

医学的な理由がある可能性は?

過剰なマウンティング行動の根本原因として、医学的な問題が隠れていることもあります。考えられるものは以下の通りです:

  • 尿路感染症

  • 皮膚の炎症

  • アレルギー

  • 痛みや不快感

  • ホルモンの不均衡

  • 強迫性障害

マウンティングとともにお尻を引きずる、過剰に舐めるなどの兆候があれば注意が必要です。 

突然始まった場合は獣医師に診てもらうことをおすすめします。普段は落ち着いている犬が急にマウンティングに夢中になる場合は無視しないでください。高齢犬が健康上の問題で新たな繰り返し行動を示すこともあります。行動獣医師に相談するのが最適で、健康問題と行動問題の違いを見極めてくれます。

メスの犬のマウンティングをどう管理する?

「バランスの取れたトレーニング方法」がよく宣伝されているため、犬の問題行動を直すためにそれに頼りがちですが、怒鳴ったりアルファロールを試みたりリードで叱ったりすると、ストレスや興奮を悪化させることが多いです。 

罰は感情の調整を改善せず、信号を抑制するだけなので、犬の自然な行動を恥じさせるのは避けましょう。 

犬は繰り返し行動を始める前に必ずサインを出します。愛犬のサインを学びましょう。よくあるマウンティング前の兆候は:

  • 特定の対象への強い執着

  • 忍び寄り

  • 過集中

  • 落ち着きのない興奮状態

  • 前足で引っかいたり、ぐるぐる回ったりする行動

  • エスカレートする遊び

兆候を見つけたら、マウンティングが始まる前に注意をそらすようにしましょう。多くの人は注意をそらすタイミングを間違えます。タイミングよく注意をそらすことで、望ましくない行動を防ぎ、犬により良い対処法を教えることができます。 

犬の感情調整能力を育てましょう。本当の目的は犬がより落ち着けるようにすることです。日常生活には以下を取り入れてください:

  • リラックスできる散歩

  • エンリッチメント活動

  • 衝動抑制ゲーム

  • 計画的な休息

  • 予測可能なルーチン

最後に、犬がマウンティングを繰り返す状況に何度も置かないようにしましょう。遊びの合間に休憩を入れ、デイケアやドッグランでも、愛犬が安心して過ごせるよう積極的に配慮を求めましょう。 

トレーニングは単に行動を教えることではなく、犬がより良い選択をできるように導くことです。
シディカ・バット、実務経験5年の認定ドッグトレーナー

PawChampはどのように役立つのでしょうか?

メスの犬のマウンティングは、恥ずかしい行動として扱うのをやめ、トリガー、興奮、繰り返し、反応というパターンとして捉えると改善しやすくなります。PawChampは、ご自宅で使える構造化された報酬ベースのトレーニングでそのパターンに取り組むお手伝いをします。

アプリでは以下のことに取り組めます:

  • 興奮時にマウンティングする犬の衝動抑制スキル

  • 来客や子ども、家族への落ち着いた挨拶のルーチン

  • 落ち着くのが苦手な犬のための、マットでリラックスする練習や「ハウス」のトレーニング

  • おもちゃの持来、ハンドターゲット、気持ちを落ち着かせる練習などの注意転換スキル

  • 問題行動の繰り返しを防ぐための、整った毎日の生活リズム

PawChampは、行動が突然で強迫的、または不快感を伴う場合の獣医師の診察に代わるものではありません。しかし、マウンティングが愛犬のデフォルトの対処法にならないように、日々の生活リズムを整えるのに役立ちます。

まとめ

次にわんちゃんがちょっと変な行動をしたときは、恥ずかしさや戸惑いを好奇心に変えてみてください。わんちゃんは壊れているわけでも、「支配的」になっているわけでも、ましてや意地悪をしているわけでもありません。過剰な刺激やストレス、退屈を伝えているのかもしれませんし、あなたの反応が面白くて偶然強化されてしまった習慣かもしれません。マウンティングはただの情報です。その意味を読み取ることがあなたの役目です。原因がわかれば、対処もずっと簡単になります。